ブルース・スプリングスティーンが反ブッシュのライブツアー「Vote
For Change :変化のために投票を」でオハイオ州など激戦区を回り、
若者にケリーへの投票を呼びかけていた頃、同じ地区をクリスチャン・
ロックの大物バンドたちも「Redeem the Vote :投票で贖罪を」のラ
イブツアーで激しく抗戦していた。

参加したのはクライスト・メタルのジョナ33など約30のバンド。後
援はもちろん、共和党御用達テレビ局FOXニューズ・チャンネルだ。

18歳から33歳までの福音派は全米に2500万人いるといわれる。
その票を掘り起こしてブッシュに投票させるのが目的だが、カソリック
原理派メル・ギブソン監督の「パッション」でキリストを演じたジム・
カヴィーゼルもこのキャンペーンに参加して、カソリックやユダヤ教徒
に、「宗教的価値観を守るためブッシュに投票しよう」と呼びかけた。

ブッシュ大統領と彼を後押しするキリスト教福音派は、神のもとにひと
つの国家と公言して一神教とナショナリズムを結びつけている。これは
アメリカ建国の理念と合衆国憲法に反した「政教一致」である。

原理主義者はアルマゲドンによる世界の破滅を信じており、コアな信者
はそれを待ち望んでいる。ブッシュ政権の大々的なイスラエル支援が中
東戦争をアルマゲドン化させようと望む原理主義の意向と関係している
こともしばしば伝えられている。

今回の大統領選挙でブッシュの対テロ戦争を支持した国民が多かったの
も、純粋な安全保障の問題だけでなく、宗教的ニュアンスもあることに
注目すべきだろう。調査を見ると、イラク戦争支持者は熱心なキリスト
教徒に多かった。

実は911以降、福音派の説教師たちはTVを介してイスラム教徒を堂
々と悪の帝国と呼んで悪魔視し続けてきた。ブッシュはイラクを悪と呼
んだがその言葉にはキリスト教原理主義的なニュアンスが色濃くある。
キリスト教原理主義のコラムニスト、アン・コールターは「対テロ戦争
の最終目標はイスラム教徒を殺し、残った者をキリスト教に改宗させる
こと」だと明言している。

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ファルージャ攻撃をライヴで報じていたNPR(公共ラジオ)が、兵士
たちは戦闘車に取りつけられたスピーカーから大音響で鳴り続けるハー
ドコアなロックにアドレナリンをかき立てられながら突進していったと
伝えた。

使命だ、使命だ、オレたちは神の使命を帯びている
オレたちはこんな遠くまでやってきた
信じられないが、ここまで来た
そしてオレたちはいま暗い汚れた世界に囲まれている
だが、イエスは我らと共にあり
オレたちは絶対にくじけない
GO!

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▼聖戦:蛮族との戦いに備える福音派海兵隊員たち▼
Agence France Presse 07 November 2004
http://www.commondreams.org/headlines04/1107-02.htm

ファルージャの外側に結集する米軍の一員として、35人の海兵隊員が
クリスチャン・ロックの音楽に動かされ、昨年イラクを侵略して以来、
最大の戦闘となるはずの戦いで彼らを護ってくれるようイエス・キリス
トに求めた。

2004年11月6日土曜日、イラクのファルージャ外側の米軍基地に
て、グラディエーターのような格好をした海兵隊第一師団が没収された
イラクの馬で仕上げたチャールトン・ヘストン映画の馬で引く二輪戦車
レースを思い出させるものをやってみせる。ファルージャを保持する暴
徒への待ち設ける攻撃を率いることを求められる海兵隊員としては、荷
造りをすませると、トラックにどっさり積み込まれ、最後の手紙が投函
される、そして最後のお務めの「ベン・ハー」をやめる。

海兵隊員たちは自分たちを世界のありとあらゆる望ましいことに対抗す
る蛮族の男どもと戦う戦士だと認める、現情況に匹敵するものを歌から
引き出した。

バズカットと迷彩服で覆われた男たちが両手でウエーヴをする。彼らの
そばには襲撃用ライフルM16。そして金曜日、黄色いレンガの礼拝堂
でキリストをたたえるへヴィメタ気味の歌詞を繰り返し歌った。

彼らはファルージャの街を包囲する何千という部隊のひとつとなった。
そしてファルージャを襲うかどうかイラク首相アラウィの決定を待ちな
がら慰めを探し求める。

海兵隊員たちが手を叩き目を閉じて彼らの前途に横たわることを考えて
みるとき、女性の声が拡声器から絶叫した、「あなたは君主。その名は
神聖。純粋無垢の子羊」と。

保守的なアメリカ南部と中西部出身の多くの兵士を有する米軍にはクリ
スチャンの深いルーツがある。

元気づける

戦闘がおぼろげに見える時期、多くの兵士が戦闘に向かう我が身を救う
ため、福音派やキリスト教再生派(一種の宗教右派)にたよる。

「常に励ましてくれる。総攻撃の前は常に教会参列者が増している」と
中隊下士官(曹長)マイルス・サッフォードは言った。

「時には誰でも神と話をする」

礼拝のエレキギターの神聖な旋律と旋律の間に、海兵隊員は礼拝堂の小
さなステージに上って、戦争に備え活力を与える意味を持つ聖書の一節
を朗誦した。

それは3000年前にパレスチナ南西部にいたイスラエル人の敵、フィ
リスティア人と戦う旧約聖書のヒーロー、イスラエルの王になった羊飼
いのことを言う。

「このようにダビデはフィリスティア人にまさった」と海兵隊員は言っ
て聖書の引用文を読む。そしてウーウッとうなる賛同のサインを用いて
「キング・ダビデ、万歳」と海兵隊員たちがはやしたてた。

「勝利は神のものである」と別の海兵隊員の若者が読む。

ホーンという名の軍隊付き牧師が「弾圧、レイプ、拷問、殺害からイラ
ク人に自由をもたらす」ためと、ファルージャの外側に配置された礼拝
者たちに告げた。「その奮闘で神のご加護があらんことを」

聖油

海兵隊員たちが一列に並ぶと軍隊付き牧師が身を守るために聖油で彼ら
をたたえた。

海兵隊員の額に油を軽くなすりつけるとき、「神の従者は油を注いで神
聖になる」と牧師は言った。

一団はそれから彼の後ろについてキリストを見いだしたばかりの半ダー
スほどの海兵隊員に洗礼を受けさせる小さな講堂の外に行った。

若い男性が一列に並び、少なくとも3人がショーツを脱いだ。

3人が水をいっぱいにはったゴム製救命ボートに横たわると、牧師のア
シスタントであるヴォーン海軍衛生下士官が水面のすぐ下に彼らの頭を
沈めた。

にっこりするヴォーンは、「父と子と聖霊の名において」と3人に洗礼
を施した。

したたるほど濡れて、キース・アルゲレス伍長は洗礼後、ほほえんだ。

「戦闘に立ち向かう前に洗礼をするのを確かめたかっただけ」と、彼は
ファルージャの街から遠くない米軍基地で言った。