▼米国のクリスマスの展示に抗議するキューバの学生たち▼
19 December 2004 by マーク・フランク ロイター通信

ハバナ発:19日の日曜日に若い共産主義のリーダーが好戦的な挑発と
説明した、昨年拘束された反体制の人々を支援するクリスマスの展示に
対し、月曜日キューバの学生らがハバナの米国利益代表部の外で抗議す
るつもりである。

辛辣な政府のビルボードですでに逆襲されているクリスマスの飾りをめ
ぐりエスカレートする小競り合いに関する番組がTVで放送される中、
キューバの共産主義青年連盟と大学生、学童が米国利益代表部を指揮す
るジェームズ・カーソンを批判した。

「カーソン氏の好戦的で干渉する傲慢な方針にボクたちは応酬している
んです」と共産主義青年学生会の会長フリオ・マルティネスは言った。
「あらゆる挑発とあらゆる正当な理由のない攻撃にボクたちはいつでも
喜んで応酬する」と彼は言った。

日曜はまた、ブッシュ大統領の二期目の最中にキューバを勝手にいじる
ことをワシントンに思いとどまらせるため力の誇示としてやってみせた
極めつけ、18年で最大のキューバの軍事演習を記念した。キューバの
カストロ議長はキューバを侵略する計画を練ることでブッシュ政権を非
難している。

執務室から防御準備を確認するのを見せられた日曜、「合衆国の正当な
理由のない攻撃のリスクは実在する」とカストロは言った。

先週、囲いをめぐらした米国利益代表部の敷地内に設置した冷ややかな
雪だるまとキャンディ缶と長い刑期を務める民主主義ひいきの活動家の
人数を象徴する大きな「75」の数字が含まれるクリスマスの電飾で合
衆国はキューバ政府を狼狽させる。

キューバは反体制の人々を国を中からくつがえすための解決策、合衆国
の傭兵とみなす。嫌疑を彼らは否定する。

金曜日、「75」の表示を降ろすよう要求するのを合衆国が拒否した後
にキューバは米国利益代表部の周囲(マレコン海岸通りにある代表部向
かいの遊歩道)にイラクのアブグレイブ刑務所で布袋を被せられたむご
たらしい虐待拷問の被収容者の写真と子供たちに近寄って臆面もなく声
をかける兵士の写真、太くて赤いカギ十字と「ファシスト」の文字のあ
る巨大なビルボードを構築した。

金曜日の記者団のインタヴューでパウエル国務長官はキューバの反応を
「浅はか」と呼んだ。

どんなに費用をかけてもキューバ革命を台無しにすることに死に物狂い
で精力を傾けるブッシュ政権の「おとり」としてカーソンを攻撃するの
に日曜の番組の大部分が費やされた。

「ボクたちは応酬し続けるつもりです」と、難破船の犠牲者エリアン・
ゴンザレス少年をマイアミから父親のいる本国キューバに連れ戻すため
合衆国との論争の最中に評判を得た若きリーダー、ハッサン・ペレスは
言った。

カストロの1959年の革命後、ワシントンはハバナとの外交上の関係
をやめてキューバに制裁を加えたが、2つの国はそれぞれ相手の首都に
利益代表部を保持する。
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▼カストロ、チャベスが合衆国の通商協定に公然と反抗▼
15 December 2004 Aljazeela

アメリカが提唱する南北・中央アメリカの自由貿易圏に対し、キューバ
のフィデル・カストロ議長とヴェネズエラのウゴ・チャベス大統領がそ
れに代わる貿易圏を公表している。
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▼長い上り坂▼

活気づくアルゼンチンの民主主義はIMF国際通貨基金を非難する姿勢
を取っているが、いつまでか?
by ジェームズ・ノース 14 December 2004

ブエノスアイレス発:全世界にわたる金融機関とのアルゼンチンの困難
な交渉について西欧の主流の新聞雑誌の記事ではルイス・ビアンチの見
解は読めない。運転しないのは一時間かそこいら早い午後の食事をとる
ためでルイス・ビアンチは使い古した黒と黄色のタクシーを一日12時
間から14時間、時には16時間運転する。彼は75歳だが引退するに
は貧しすぎる。

「80歳まで、もう5年働きたいものだ」と彼は言う。「政府は私の免
許証の更新を止めるだろう。でもそれまではこれで稼げるはずだ」

62歳の妻には低賃金の政府の仕事がある。二人は3人の子供を援助し
ている。ひとりは国民の19%と見積もられる失業者。他にも15%の
アルゼンチン人が常時雇用でなく44%が最低収入の貧困ラインを下回
る生活を送る。

ルイス・ビアンチは洗練された言葉づかいの自己憐憫のかけらもない思
慮深い男性だ。ほどなくアルゼンチン政府と国際金融機関、債務証書所
有者、そしていつもより意地悪な役回りを演じているIMFとの間で話
し合う主題のアルゼンチンの海外債務1千800億ドルについて彼には
おもしろい色合いの見解がある。

2001年に政府が史上最大の不履行、約1千億ドルの債務支払を怠っ
たことに彼は愉快ではない。ルイス・ビアンチは個々の投資者にすまな
いと思う。20年前に自分のタクシーを買ったときしたように彼は明瞭
に自分の債務を全うするといってよい男である。

支払を怠った債務の100%をアルゼンチン人は支払う必要がないとか
払うつもりはないとは言わない。むしろ単純に国には払えないと大統領
が言ったことを彼は繰り返す。投資とはリスクを意味するのを、そして
債務証書所有者に買いだと助言した投資大企業にも責任があるのを、彼
はほとんどがヨーロッパ人の債務証書所有者に気づかせようとした。

長い不在の後にアルゼンチンに戻った誰もが、その国がどんなに貧しく
なっているかにひどくびっくりさせられる。かつての南米のパリ、ブエ
ノスアイレスは色あせ、くたびれ、しょぼい雰囲気だ。そして北のツー
カームやサンティアゴ・デル・エステロのような地方都市はもっとひど
い。

ここ数十年で貧民街シャンティタウンが広がっている。今ではもうリオ
・デ・ラ・プラタの端から端へと国内空港に向かう途中で見かける。そ
れはほら、マンハッタンのウエストサイドハイウエイの端から端のバラ
ックに住む幾万人に等しい。

明らかにかつて中産階級だった人びとが、かつてファッショナブルだっ
たブエノスアイレスの中心街のところどころに配置され、ストリートの
露天商として、あるいは公然と物乞いをして生き延びる。あか抜けした
歩行者のストリート、カレ・フロリダの端から端にあらゆる年齢の常時
雇用でない人々が立ち、数ペソ稼ぐためにフライヤーを配る。ダンボー
ル集めの一団が、時には一家全体が、ゴミのダンボールを集めて売るこ
とで生計を立てる。

けれども未知のみすぼらしさにもかかわらず、今日のアルゼンチンは挫
折のたまり場ではない。ほぼ毎日、人々は通りに出てデモをする。70
年代と80年代、合衆国が支援する独裁政権の間中ずっと拷問して殺害
した軍の犯罪人が刑罰を受けないのを終わりにするのに賛成して、今日
一般の犯罪率が高まることに反対して、経済危機の間中ずっとあわれむ
べきレベルに引き下げられた老齢年金の引き上げに賛成して。

国際的な銀行に場所をあてがうブエノスアイレスのダウンタウンの高い
ビルの地上にはもはや窓はない。代わりにハンマーで武装した元預金者
の集団に備え防護として金属製のよろいかぶとですっぽりおおわれる。
全く耳障りな騒音をたてる元預金者らはまだ2001年の経済崩壊で預
金の価値の三分の二を失ったことにかんかんに怒る。

普通は解散させられ気力をくじかれた失業者を一つにまとめるのは難し
い。だがここアルゼンチンではデモ隊(ピケテーロ)の運動はより快適
な社会福祉の支払と最後に仕事を要求するため無数の人を動員するのに
はなはだしい成功を収めていた。デモ隊は中央のビジネス地区の端から
端まで行進して大都市圏を結ぶハイウエイを遮断する。(残念ながら、
あるデモ隊の直接行動によって一様に迷惑をかけられた人たちの中に激
しい反発が浮上している)

国際的な財界人と交渉するとき、たぶん活気づく国民が中道左派のキル
チネル大統領の最大の強みだろう。協議は続きアルゼンチンが2005
年初めの数ヶ月にも債務証書所有者との合意に達するのはほぼ確実だ。

この国に住むがワシントンの政策調査エコノミックセンターの同僚であ
るアルゼンチンのエコノミスト、アラン・シビルズは債務証書所有者ら
は結局は元々の投資価値の約50%を受け取ることになると見積もる。
不正な企業経営が債務を履行しなかった後、エンロンの債務所有者は1
ドルにつき14セント戻っただけだったのをキルチネル大統領がアメリ
カ当局に念のため丁寧に申し述べていると彼は言う。

しかし、債務証書所有者との満足がいくような合意の後にもアルゼンチ
ンは相変わらず脆弱なままだろうとシビルズは気をもむ。「国の負債は
それでもおよそ1千300億ドル」と彼は言う。「それは国内総生産の
90%〜100%のあいだ、まだ債務の不安定レベルの可能性を秘めて
いる」

一般のアルゼンチン人のように、債務証書所有者を甘受するようひどく
おおっぴらに政府に圧力をかけているIMFを表現するのにことのほか
厳しい言葉がシビルズにはある。「客観的仲裁者」として働くと思われ
ているIMFは現にひどい財政上の勧告と、第一に大いに財政危機の一
助となったまずい融資に主として責任があると彼は指摘する。

90年代にさかのぼって、アルゼンチンはIMFの模範生とみなされ、
エコノミスト誌や残りの世界の論調において吐き気を催させる均一さで
賞賛された。1997年以降、たとえ失業者が二桁であってもである。
2001年の崩壊後、世界化する人たちはなんとか非難などを和らげよ
うとして、アルゼンチン政府を偽善的に責める。

今ではIMFの勧告なしにアルゼンチンは現実に着々と回復している。
今年の成長率は8%と見積もられ、現に政府は予算を黒字の状態にして
いる。だが目下IMFはその余剰金をアルゼンチンに使わせて国際的な
債務証書保有者に優先権を与えてもらいたがっている。絶望的に飢えて
る人がいるアルゼンチン市民を差し置いてだ。

8月、IMFの常務取締役ロドリゴ・レイトーがアルゼンチンに赴いて
キルチネル大統領に「IMFにはアルゼンチンと称する問題がある」と
忠告した。「私には1千500万の貧困層と称する問題があります」と
キルチネルは答えた。

過去50年に及ぶアルゼンチンの不振に共通の理由はない。だが主な要
因には西欧の農業保護貿易政策があった。ヨーロッパと合衆国までもが
アルゼンチンの主要な輸出品である牛肉と穀物を保護してきた。IMF
が別にやかましくなかった、それは明確な「自由貿易」違反である。

IMFとの関係を絶つことと、自国の回復をなんとか管理することで、
アルゼンチンが失うものは何もないとアラン・シビルズは考える。だが
国債を債務不履行したことのある国はないし、ブラジルやメキシコや他
の第三世界の国々から実質的な支援なしにアルゼンチンが全く独力で存
在することになるのをシビルズは十分に理解する。

アルゼンチンの孤立は911に続く国際的な反グローバリゼーション運
動の低下という悲しい前兆である。一度はIMFのひどく不公平な政策
が世界の注意を促した、そしてどこかよそのやかましいデモで攻撃され
たものだった。だがもはやそうではない。

これまではアルゼンチンの危機は独裁政権の復帰を求めるのを促しては
いない。民主主義がたちまち元気を回復するのがわかる。だがどの国も
いつまで大量の失業者数に耐え、結果として来るべき流血を伴う過激主
義の危険なしに衰退を続けられるものか?同時に75歳のルイス・ビア
ンチは12時間労働を続ける。そして自分には仕事があってラッキーだ
と彼はみなす。

▲ジェームズ・ノースは25年以上にも及びアフリカ、アジア、ラテン
アメリカ、そして中東から伝えている。彼はニューヨークに住む。