▽ファルージャの反乱集団に対する米軍の6日間攻撃▽

先週、ファルージャ市街の戦闘で少なくとも450人のイラク人が殺害
され、1千人以上が負傷したと(多くの幼児や子供が含まれる)、町の
主な病院を動きまわる医師が言った。
医師は、数字はファルージャのすべての病院からもたらされたもので、
100%正確だと述べている。

▼ファルージャでアルジャジーラが標的に▼
09 April 2004 ALJAZEERA.NET

イラクの一触即発の危機の街ファルージャで、アルジャジーラのジャー
ナリストたちが攻撃を受ける羽目になっている。
9日の金曜日、包囲された街の内部から伝えている唯一のTV クルー、
アルジャジーラの仲間たちがその日2度も狙撃されたと苦情を訴えた。
新聞記者たちは以後、米軍兵士とイラク人抵抗戦士とのあいだのひどい
戦場に変容した手に負えない街の中のより安全な場所への移動を余儀な
くされている。
米軍の戦闘機 F16はまた、面食らわせるほどニュース局の事務所に近い
場所を爆撃したと、ファルージャのアルジャジーラ通信員、アーマド・
マンスールは言った。
標的
アルジャジーラのジャーナリストたちは、これまでにもたびたび米軍の
正当な理由のない攻撃、好戦的な性質で自分たちが嫌な思いをしている
のに気づいている。
アフガニスタン戦争では、首都カブールにあるアルジャジーラの事務所
が爆撃された。
アルジャジーラの記者、タリク・アユーヴは、昨年のイラク戦争の最中
に放送の準備をしていて米軍の戦車の砲火によって首都バグダッドで殺
された。
ファルージャからの報告で、マンスールは、包囲された街の中の状況は
ぞっとするようなものだと言った。
米軍の占領兵によって四方八方から取り囲まれた内部の居住者たちは、
生活用品を使い果たしている。
多数の死体を包む布を求める、国民への訴えが地元のモスクから出され
ていた。地元の医師が町のイラク人犠牲者は450人と述べた。
重傷者を避難させるためにバグダッドから到着する救急車には、町への
進入路にたどり着くのに困難があった。
救急車がタリブ・アル・ジャナブ・クリニックまで行こうと試みると、
米軍兵士らが発砲して、6台の救急車を強制的に退却させた。

■関連記事:
「バグダッドのストリートドッグには爆弾が近づくのがわかる」
http://www.fair-port.com/tama/thelatest28.html
■ALJAZEERA : http://www.fair-port.com/tama/dictionaryframe.html

▼Report from Baghdad 地獄の扉を開ける▼
by Rahul Mahajan (ラウール・マハジャン) ZNet 07 April 2004

イラクでは地獄の扉はかつてないほど大きく口を開けようとしている。
少なくとも、米国とそれに協力する国々にとっては。

「スンニ派とシーア派は、今や手を握った。一つになってアメリカ人に
反対している」。バグダッド西方のシーア派がほとんどのシュアラ地区
のスラムにて、焼かれた米国の戦車運搬車の陰である人物が私に語った
ことだ。こうした心情は、サドル師の組織の地方本部でも明らかにされ
ている。前日、米軍の攻撃を受けたところである。
そして、シュアラ地区から米軍が押し戻されたときに、実際にそれを行
ったのはスンニ派とシーア派の人々が団結して闘ったからであること、
そして、サドル師の軍事組織マフディ軍団によるのではなく、地元の組
織化されていない人々によってであることに誰もが同意している。
イラクでの抵抗が、米国が統制できないものになっているかどうかにか
かわらず(これはブレマー行政官やジョージW・ブッシュにではなく、
大アヤトーラ、シスターニ師にかかっている)、ここ10日間の出来事
がイラク占領における決定的な転換点を示しているのはすでに明らかで
ある。

こうした出来事について、私たちは都合のよい手前勝手な話を耳にして
いる。話では、ファルージャの「サダム支持者が基盤」で、少数の野蛮
な「孤立した過激派」が食料のコンボイを護衛していた4人のアメリカ
人請負業者を殺害した、それは挑発に対抗したというものでなしに不法
行為だった、とされている。

真実は、いささか異なっている。ファルージャは確かにスンニ派アラブ
人が多い地域ではあるが、サダム支持の拠点などではまったくない。多
くの住人はサラフィスト(ワッハーブ派はサラフィズムの一部である)
で、サダムにより政治的虐待の対象として名指しされたグループだ。
実際、戦争のときには、ファルージャは抵抗の強い地域ではなかった。
ファルージャが抵抗に転じたのは、2003年4月28日、米軍兵士た
ちが100人から200人の平和的な抗議行動者たちに向けて発砲し、
15人を殺害してからだ。米軍兵士たちは「撃ち返した」のだと主張し
たが、ヒューマンライツ・ウォッチの調査は事件が起きた場所の銃痕が
その主張とは相容れないものであることを示した。さらに、全てのイラ
ク人目撃者は、この群衆は武装していなかったと述べている。その2日
後、さらに3名が殺害された。 (4月28日、米軍は学校を占領した。
学校を巡る住民と米軍の対立が抵抗への分岐点だった)
これらの事件により、この地域の多くの人が抵抗運動に参加し、自分た
ちでグループを結成した。暴力の応酬があり、さらに占領軍が頻繁に集
団懲罰を街に加えたため、ファルージャは他のどこより、占領に対する
怒りの煮え立つ場所となった。

ブラックウォーター・セキュリティ社(米国海軍特殊部隊の元隊員たち
が作った会社で、社員はイラクで兵士と同じ役割の多くを担っており、
戦闘にも参加している)の傭兵4人が殺された、最近の出来事は、何も
ないところで起きたわけではない。実際、その一週間前に米国海兵隊は
ファルージャで大規模な家宅侵入捜索を行っており、カメラマン一人を
含む、少なくとも7人を殺害していた。住民は、ブラックウォーターの
社員が攻撃され、その後、遺体が焼かれて吊されるなど悲惨な扱いを受
けた理由はここにあると語っている。

けれども、CPA米英暫定占領当局はスンニ派とのこうした大きな問題
だけでは飽きたらず、同じときにサドル師に従うシーア派の人々に対し
ても戦いを始めた。
サドル師が民主主義についてどう考えていようとも、サドル師が民主主
義を脱線させようとしてこの暴力を開始したというブッシュの主張は馬
鹿げている。第一、サドル師は扇動的レトリックを用いてきたが、彼も
彼に従う人々も、これまで常に占領軍に対するあからさまな暴力を行う
手前で自制していた。第二に、今回の暴力を引き起こした出来事は、サ
ドル師の週刊紙アルハウザを閉鎖したことにある。これがあからさまな
反民主的行為でなくて何であろう。実際に新聞が閉鎖されたのは、ただ
単に、新イラク国防軍のボランティア多数を殺害した自動車爆弾による
爆撃とされるものが、実は空から(したがって米軍により)なされたと
いう、ある目撃者の証言を掲載したからだ。

バスラ、ナジャフ、カルバラ、ナシリヤ、クファ、クット、ディワニヤ
で、そしてバグダッドのタウラ、シュアラ、カディミヤで、占領軍が同
時に統制を失っているなか、ブレマーとブッシュはわずかに後退した。
サドル師を政治的役割のために逮捕すると言う代わりに、ブレマーとブ
ッシュは、昨年4月のシーア派聖職者アブドゥル・マジド・アル・ホー
エイ師殺害の件で手配すると言っている。そして、実際、最近の暴力を
引き起こしたもう一つの要因は、サドル師の側近ムスタファ・ヤクビ師
を拘束したことにある。ブレマーとブッシュはこれについて、自分たち
は何の関係もないと言っている。イラク人判事が独断で逮捕状を発行し
たと。
この説明はイラクでは相手にされない。逮捕状が随分前に書かれていて
適当な時が来るまで使用が控えられていただけなのは、すでに明らかに
されている。実際、イラクの司法相はアル・ホーエイ師殺害にサドル師
やヤクビ師が関与していたことについて、何の情報も持っておらず、イ
ラク政府により指名手配はされていないと公に述べている。
いずれにせよ、「暫定統治」の軍事的対応と空虚なレトリックはイラク
の人々の心にはまったく届かず、すでに米国の手に負えなくなった状況
をさらに悪化させることは確実である。

現在起きている暴力はニュースで大きく扱われているが、ある意味で、
それは本当の話ではない。何百人もの人がこの10日間で殺されたこと
は悲劇ではあるが、占領下の毎日の生活そのものが悲劇なのである。
(AP 通信はこれまでに600人のイラク人が死亡したと伝えている)
バグダッドのシーア派スラムに暮らす、目下、アメリカ人に対して激し
い抵抗運動を展開している人々は、これまでサダムを本当に忌み嫌って
いた人々である。サダムの弾圧、そしてまったく省みられない状態(と
りわけ米英主導の経済制裁のもとで、乏しい資源と代替部品は政治的に
サダムに気に入られた地域に行っていた)のもとで苦しんできた人々で
ある。米国の占領後に大きな改善を期待していた人々なのである。
1991年の蜂起に参加した元イラク軍の軍人で現在はシュアラにおけ
るサドル師の報道官をやっているサドゥン・アル・シェマリ師は、私に
このように語った。「事情はサダム時代とまったく同じだ、恐らく悪化
しているかも知れない」

イラク占領について、みなさんが知る必要があるのは、こうしたことで
あるはずだ。

●ラウール・マハジャンはサイト「Empire Notes 」を運営していて、
バグダッドからWebとブログを発進している。
彼の新著「Full Spectrum Dominance: U.S. Power in Iraq and Beyond」
●http://www.empirenotes.org/