1月7日の毎日新聞は、「米大統領選で、米上下両院は合同本会議を開
き、昨年12月13日に実施した大統領選挙人(総数538人)による
投票結果を公式に開票した。、、、これでブッシュ氏の当選が正式に承
認された」とあっさり報じた。

だが、議会の討議内容はそれほど単純ではなかった。ブッシュ大統領再
選を決定づけたオハイオ州の選挙結果に今回やっとひとりの上院と大部
分が黒人の下院議員が異議申し立てを行い、議会は騒然としていた。

大統領選の選挙人認定をめぐる異議申し立てが行われたのは過去100
年にわずか1度だけ。1969年のニクソン再選認定の年とされる。

マイケル・ムーアの映画「華氏911」の冒頭シーンでわかるように、
下院での申し立てを上院で討議するためには少なくとも1人の上院議員
の署名が必要だ。2000年大統領選のフロリダ州における公民権剥奪
の異議申し立てでは、当時の下院議員に同意する上院議員はひとりも現
れなかった。

だが今回は違っていた。議長を務める副大統領チェイニーはさぞかし腹
立たしく思ったに違いない。カリフォルニア州選出バーバラ・ボクサー
上院議員がステファニー・タブズ下院議員と共に正式に異議申し立てを
行ったのである。

バーバラ・ボクサーの申し立ては、上院74対1、下院267対31で
却下され、その結果ブッシュ大統領再選が議会によって正式に認定され
た。(だが、これは記録に残る)

心打たれるバーバラ・ボクサーの異議申し立ての声明文は下記のサイト
で読める。彼女は結果になみだを流した。
http://hiddennews.cocolog-nifty.com/gloomynews/2005/01/1002.html

また、どんな仕打ちをされるかわからない、異議申し立てをした議員た
ちの勇気を賞賛するマイケル・ムーアの「米上院議員への公開書簡」は
下記のサイトで読める。
http://911-488.blogzine.jp/911_488/2005/01/post_2.html

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今やアメリカ合州国の大多数を代表することになった反戦デモ参加者の
ために、団体 A.N.S.W.E.R.連合(戦争をやめ人種差別をやめさせる
ために今行動を)が1月20日に行われる大統領就任パレードでペンシ
ルベニア通り沿いに並ぶ許可を申請した。彼らはチャーターバスやバン
や自家用車の隊列で数千人の人びとを全米から4番街とペンシルベニア
通りに集める計画であり、集合地では歴史上初めて反戦デモ用のスタン
ドを作成し、抗議行動を行う準備を進めている。

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▼大統領の記念すべき日に向け反戦グループも準備着々▼
NY Times by マイケル・ジャノフスキー 13 January 2005

ワシントン1月12日:来週木曜日すべての行事でブッシュの大統領2
期目発進を滞りなく祝うことができるように大統領就任行事の企画担当
者らができる限りのことを行っているのと平行して、抗議する側もそう
はさせまいと準備を進めている。

国会議事堂から十数ブロックはなれた目立たない司令部から、イラク戦
争その他政府の政策に反対でひとつに結ばれた諸々の団体の連合が、大
統領就任に向けた行動を組織している。行動の中には、国会議事堂での
宣誓就任式からホワイトハウスの観閲台までブッシュが移動する大統領
就任パレードにやじの雨を降らす、断固とした行動も含まれている。

「アメリカ合州国内の世論に目下現存する大きな亀裂を大統領就任の日
が明確に示すこと、それが私たちの目標である」と、A.N.S.W.E.R.
の名で知られる連合の全米コーディネーター、ブライアン・ベッカーは
言った。「私は委任されているのだとブッシュは強く主張しようとして
いる。だがアメリカ国民の多くがブッシュに委任しているとは考えてい
ないというのを私たちは示したい」

他にもいろいろなグループがデモを計画している。水曜日に行われた記
者会見で全米ブラックパンサー同盟とD.C. アナーキストレジスタンス
を含む5つの団体のリーダーたちが、反ブッシュ集会、行進、自転車デ
モ、それに少なくとも市民不服従の行動を一つは行うという計画を話題
にした。

D.C. 反戦ネットワークは「ダイ・イン」デモを計画している。それに
よると、終点のホワイトハウスに面したラファイエットパークに、アメ
リカの軍事作戦で最近亡くなった市民を表すダンボール製の棺1000
個を持ち込むという。

大統領就任パレードに出て行く計画があるのは1団体だけ。「ブッシュ
に背を向けよう」という草の根団体は沿道の歩道の縁石になんとか場所
を見つけ、通過するパレードの車列のブッシュに背を向けようと計画中
である。

「たくさんの人びとがブッシュに背を向けられていると感じています」
と、このグループの現場を指揮するサラ・カオフマンは言う。

大統領就任式行事の警備を統合している財務省秘密検察局のスポークス
マン、トム・マズールは抗議行動にはすでに対策が練られていると語り
デモが整然と行われる限り、抗議行動の参加者を手荒く扱うつもりはな
いと強調した。

安全のため、秘密検察局は見物人が握り柄付きの表示とかポスターを持
込むことを禁じている。

ベッカーのA.N.S.W.E.R.連合は2001年以降ワシントン、ニュー
ヨーク、サンフランシスコ、ロサンジェルスで反ブッシュ行動を15回
組織してきたが、そのほとんどで批判しているのは政府のイラク政策で
ある。

デモには数十万の市民を引き寄せ、時には騒動になって多数の逮捕者を
出した。昨年の夏にはニューヨークの共和党全国大会への抗議参加者か
ら、その多くがA.N.S.W.E.R. の行動参加者の約2000人が逮捕さ
れている。

パレードが通過する沿道の歩道を管轄するのは国立公園局だが、その首
都圏スポークスマンであるビル・ラインによると、おもな就任行事を統
括する民間組織の大統領就任行事実行委員会にパレードルート沿いの最
上等観覧席のほとんどの使用許可が与えられている。スタンドはすでに
設置されていて、座席は125ドルもする値段で販売されている。

パレードが観覧できる沿道の席の使用許可を求めた他の3団体のうち、
A.N.S.W.E.R. が受けた使用許可は9カ所、パレードの通過路にある
かそれに近い位置としては最大の許可数だが、直接見通せるのは2カ所
しかないとビル・ラインは明らかにした。他の2つはブッシュ政権の政
策を支持している団体だ。

A.N.S.W.E.R. に約束された2カ所のうち大きい方は国会議事堂下に
近く、彼らは最大のパーフォーマンスをここで行う計画だ。そのためス
タンドを建設し、政府のイラクへの関与に対する怒りを示す表示物を持
つ参加者を無料で入れて満杯にしようとしている。

「私たちが出向いてもジョージ・ブッシュの考えに大きな衝撃を与えら
れるとは思っていません」と、1万人は収容可能な広さだと説明するベ
ッカーが言った。「でも、私たちはベトナム戦争のときに民衆が作り上
げたような運動、どんな政治家も無視できないような運動を作り上げる
のが目標なのです。ブッシュやイラク戦争の支持者が行く先々で、目に
見える反戦デモで彼らを迎えたい」

http://www.nytimes.com/2005/01/13/politics/13protests.html?oref=login