▼2020年には  
インドと中国がアメリカより優秀であるかもしれない▼
by CHIDANAND RAJGHATTA
The Times of India 14 JANUARY 2005

ワシントン発:グローバルプレイヤーとして中国とインドの出現は後退
するアメリカの世紀に代わり、アジアの世紀を予告していると、合衆国
諜報機関は報告した。

CIAが任命する報告書は遠大な予測でアジアの2つの巨人たちの出現
を19世紀のドイツ統一と20世紀のパワフルな合衆国の出現と比較し
た。そして、もしかすると先の2つの世紀のそれと同様にドラマチック
かもしれない、インパクトある世界の地政学上の眺望を変容させること
になると言った。

「コメンテーターらが1900年代をアメリカの世紀と呼ぶのと同じく
それを受け継ぐ21世紀は中国とインドにリードされるアジアの時代と
みなされるかもしれない」と、<グローバルな未来地図を作る>と題し
た報告書が所見を述べた。「継続する高い経済成長と拡大する軍の権限、
豊富な人口という組合せが、両国の経済力と政治力において予期される
敏速な向上の原因となるであろう」

この報告書はCIA長官に報告する首席情報アナリスト集団、全米情報
評議会によって出版された5年毎の世界のトレンド予測のシリーズ3で
ある。シリーズ1と2は2010年と2015年の予測。2020年の
予測は、過去5大陸の30の会議での非政府の1000人以上の専門家
による審議会をベースにしたものだった。

2020年を予測する2005年の報告書は911後の変化を反映した
が、インドに対するより上向きな評価を含め、先の2つの研究には見ら
れないかなりの確信を入れてもいた。「世界化のプロセスの突然の逆戻
り、またはこれらの国々における重大な激変(大動乱)さえなければ、
中国とインドのニューパワーの高まりは事実上確実なことである」と予
言した。

2020年までには中国の国内総生産(GNP)がアメリカを除いては
個々の西側経済力のそれを上回るだろうと予測する。そして、インドの
GNPはヨーロッパの経済を追い抜いているか、今にも追い越そうとし
ていると報告書は述べた。

だが、インドの出現はまた地域に巧みな戦略の悶着の種を与えることに
もなるだろうと報告書は示した。中国のように、インドは地域にとって
経済を引きつける国だろうし、その浮上にはアジアばかりか北方の中央
アジア、イラン、そして他の中東諸国にインパクトがあるであろう。

インドの経済が成長するとき、マレーシア、シンガポール、タイなどの
東南アジアの政府は、中国に対し平衡力として作用する将来性のある地
政学を築く助けになるようにインドに接近するかもしれないと述べた。
と同時に、インドは中国を排除することなしに地域の国々との結びつき
を強くしようと努めるであろう。

114ページの報告書が中国とインドの出現に関する言及を十分に持っ
ているとはいえ、威圧する難題にもかかわらず、「アメリカ合衆国が桁
外れの有利な立場を持ち続けるであろうし、他国が2020年までには
匹敵しないであろうテクノロジー、政治、軍隊といった広範囲の争点の
全域で中枢の役割を演じることになる」と報告書は強く主張した。だが、
報告書の数カ所で、西側世界がかなりの衰えを知ることになると、アナ
リストたちは認めた。

中国、インド、ことによるとブラジル、インドネシアといった国々を、
「成り上がり」勢力と称する報告書は、これらの国々には「東西、南北、
緊密に協力する・しない、先進・発展途上といった時代遅れの陳腐なカ
テゴリーを明け渡す将来性がある」と述べた。

「伝統的な地政学のグループ分けは、国際的関係においてますます重要
点(特徴)を見失うことになる。遠距離通信、取引と金融のフローによ
ってリンクされる、縛られた状態の世界とメガシティという世界が同時
に存在することになるであろう」と報告書は述べた。

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▼BRICS同盟(ブラジル・ロシア・インド・中国・南アフリカ)を
目指すプーチン大統領▼
by Sudhir Chadda Indiadaily.com 16 Feb. 2005(社説)

ロシアの大統領ウラジミール・プーチンと中国首脳は防衛、貿易、エネ
ルギーの各分野で戦略的同盟を結成することを決定した。ロシアは中国
に石油を輸出し、中国はロシアと共同でユーラシア大陸における地政学
上の戦略的防衛に臨む。

国際的なシンクタンクによれば、ロシア安全保障会議の関係者は米国が
ユーラシア大陸で地政学的に「攻撃的」になることへの防止対策を協議
することが共同評議会の主要な業務になると話している。

中国とロシアは合同軍事演習も計画中だ。海軍による合同軍事演習は、
今年8月に中国の遼東半島で行われる予定である。

世界は同盟関係によって明確に分けられることになった。最初の同盟は
米国が主導する同盟(30カ国以上のイラク戦争参加国)である。次が
ヨーロッパ同盟だ。NATO、EU、米国主導の3つの同盟には、見過
ごすことのできない重複がある。

第3の新興同盟がBRICS(ブラジル・ロシア・インド・中国・南ア
フリカ)である。新たに結成されるロシア・中国の同盟関係はプーチン
大統領がBRICS同盟を公式に創設・先導するのに欠かせないもので
ある。

近年、ブラジルは率先してベネズエラと業務提携関係を結んだ。中国と
ロシアもまた、ベネズエラと提携を結んでいる。ワシントンの反対にも
かかわらず、ロシアはベネズエラに防衛設備を提供し、イランに原子炉
を提供することを計画している。

インドはワシントンがパキスタン政府にF16戦闘機を提供する決定を
注視している。F16戦闘機をパキスタンに配置することは、世界との
協調を目指す姿勢からインドを逆戻りさせることになる。インドの国民
会議派は、長いあいだクレムリンと密接な関係を築いている。

プーチン大統領の目下の目標は、戦略的なBRICS同盟を築き、世界
最強の貿易・軍事圏へ発展させることにある。

ブッシュ政権も黙って見ているわけではない。ライス国務長官はインド、
パキスタン、南アフリカ、ブラジルを米国同盟に加盟させるために対抗
策を打ち出してくるだろう。

米国同盟とBRICSとのあいだには、新たな冷戦の可能性が浮かび上
がりつつある。

ヨーロッパの立場は基本的に中立だ。新たな冷戦は、かつて米国とソ連
で争われたようなものとは違った様相を呈することになる。BRICS
同盟を結成しつつあるプーチン大統領はブッシュ大統領との会見を敬遠
している。ロシアと米国の関係同様、中国と米国、インドと米国には親
善関係の可能性もある。密かな戦争は貿易、商取引、金融分野で争われ
ることになるだろう。その分野ではインドと中国が台頭している。ロシ
アの石油も大きな要因となるだろう。ロシア・ベネズエラ・イランは、
石油と天然ガス資源をめぐり共存関係にある。

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▼中国とインドが組めば、世界のハイテク産業を制覇か▼
AP通信 10 April 2005

インド、バンガロール発:4月10日、中国の温家法(オン・カホウ)
国務院総理は、中国とインドが手を組んで中国のハードウェアとインド
のソフトウェアを融合させることで、世界のハイテク業界を制覇すると
発言した。

インド南部に位置するハイテク産業の中心地、バンガロールを訪問した
温総理は、両国は過去の対立関係をとりあえず棚上げにして、新たな取
り組みに向かい、新たな「アジアの世紀」を迎えようとしていると述べ
た。

インドはソフト開発者の中心として世界的な名声を得ている。一方の中
国は、コンピュータ・ハードウェアの分野に強みがある。両国の安価で
豊富な労働力はアウトソーシングの受け皿として活用され、米国をはじ
めとする西側先進国において、ハイテク産業に従事する労働者の雇用を
奪っている。

温総理はインドのソフトウェア開発企業に対して、中国でも業務を開始
して、中国や世界の市場を開拓するよう促した。温総理はその後、バン
ガロールにあるインド宇宙研究機関の本部を訪れ、科学者たちに会って
研究施設を視察した。

2003年、中国はアジアの国として初めて有人宇宙飛行を成功させた。
また、インドは無人探査機を月に打ち上げる意志を表明している。

両国は現在、数十年に及ぶ冷ややかな関係や対抗意識を乗り越え、関係
改善を進めている。同時に、中国はインドにとって最大の敵対国である
パキスタンの長年の同盟国であり、兵器の主要供給元でもある。

中国はインドと自由貿易地域を制定したいと強く望んでいる。実現すれ
ば、およそ20億の人口を有する世界最大の自由貿易地域が誕生する。
インド商工省の統計によると、2004年のインド・中国間の貿易額は
136億ドルに達しており、インドは17億5000万ドルの貿易黒字
を記録している。

また、温総理とシン首相は、50年以上続いている国境問題(1000
キロメートル以上に及ぶ両国の国境には未確定の部分がある)について
も話し合う予定である。

中国側当局者によると、温総理はさらにインド当局とチベットの精神的
指導者であり、インドで亡命生活を送っている、ダライ・ラマの問題に
ついても話し合う予定である。インドの警察は中国政府によるヒマラヤ
地方の支配に反対するチベットの活動家たちが温総理の訪問に反対して
デモを行なわないよう警備を強化している。

警察官によると、温総理訪問前日の9日、警察はデモを組織できないよ
うにチベット人指導者2人を拘束し、抗議行動を阻止するため50人の
チベット人学生が大学の寮から外出できないようにしたそうである。

http://hotwired.goo.ne.jp/news/20050414105.html