▼トヨタの最高益1兆1700億円▼

5月11日付朝日新聞によると、トヨタ自動車は、過去最高のもうけを
更新した。利益では製造業でダントツの世界一の座を維持。GMやフォ
ードなど米メーカーの不振で日米競争力格差が鮮明になっており、摩擦
の再燃が懸念される。ということもあってか、トヨタの奥田会長は、米
自動車産業の支援策として米国での値上げ検討を表明。GMへのハイブ
リッド技術供与に前向きな姿勢を示す(5/10 日本経済新聞 )など、京
都議定書で日本がイニシアティブをとる地球温暖化問題よりもメーカー
側の事情を優先することが明らかになっている。

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▼トヨタを含む米自動車業界   
  カリフォルニアの排ガス規制に急ブレーキ▼

トヨタを含む、米国の自動車業界団体が、カリフォルニア州の「自動車
からの温室効果ガス排出規制」を制定した「カリフォルニア州大気資源
局」を相手に、規制の実施にストップをかける裁判を起こしている。

この排出規制は、世界で初めて自動車からの温室効果ガス排出を規制す
る温暖化防止の画期的な政策措置。この規制によって温室効果ガス排出
量は2020年には18%、2030年には27%削減できるとされて
いる。また、カリフォルニア州の大気資源局の試算によると、この規制
により2020年には5万3000人、2030年には7万7000人
の新たな雇用が生まれるというメリットももたらされる。

カリフォルニア州は世界第5位の経済規模を誇る大きな州であり、規制
の対象となる自家用車が全体排出量の40%を占める。また、新規の自
動車販売が全体の12%を占めるため、この巨大市場における新規自動
車から温室効果ガス排出量をいかに削減できるかが、増え続ける傾向に
ある温室効果ガス排出に歯止めをかける重要なポイントとなる。

さらに、同様の規制法案がニューヨークなど他州で検討されており、世
界で最も販売台数を伸ばしている日本の自動車メーカーが、こうした州
政府レベルでの積極的な取り組みを阻止しようと動くのは、地球の緊急
な課題に対して、問題解決につながる道筋を閉ざすことにつながりかね
ない。

■詳しい排出規制については下記のサイトをご覧下さい。
http://www.greenpeace.or.jp/campaign/climate/toyota/detail_2_html?mag

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▼訴訟からの撤退を求めるグリーンピース▼
Greenpeace Japan MailMagazine No.055 12 May 2005

世界最大のCO2排出国であり、温暖化に対する意識とその対策が著しく
遅れている米国で、もしこの裁判によって規制が白紙に戻されるような
ことになれば、地球全体での温暖化対策に大きな悪影響を与えることが
必至である。

世界に誇る技術力を持つ日本の産業界こそ、日本や米国での重要な取り
組みに反対するのではなく、先駆的な規制をクリアしていくことで積極
的に温暖化対策に取り組み、企業責任を果たしていくべきである。

グリーンピース・ジャパンでは、3月25日、WWFジャパン、気候ネ
ットワークなどと共に、トヨタなど日本の自動車メーカーに対し、カリ
フォルニア州の「自動車からの温室効果ガス排出規制」についての訴訟
から撤退することを求める共同声明を発表した。また、4月13日、世
界14カ国、53の環境NGOと共に、訴訟の取り下げを求める要請書
を送付している。

4月21日には、米カリフォルニア州の自動車からの温室効果ガス排出
規制の取り下げを求める訴訟に業界団体の参加企業として加わっている
自動車メーカー5社(トヨタ自動車株式会社、本田技研工業株式会社、
日産自動車株式会社、三菱自動車工業株式会社、マツダ株式会社)に対
し、公開質問状を送付した。