チェイニー米副大統領は6月13日、キューバのグアンタナモ米軍基地
の外国人収容施設が、海外での米国の印象を損なっていることはないと
思うとして、閉鎖を支持しない考えを示した。

ブッシュ大統領は、あらゆる選択肢を検討するとして閉鎖にも含みを残
す発言をしていたが、チェイニー副大統領は、グアンタナモ基地は依然
有効に機能していると述べた。

副大統領はジャーナリズム関連の会合で行われた質疑応答で、「われわ
れを取り巻く現状を考慮すると敵の戦闘員を収容するための施設は必要
だ」。「彼らは重要な情報を提供している」と語った。
(ロイター14 June 2005 )

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▼、、、のシンボル、アメリカ▼by ボブ・ハーバート
New York Times 30 May 2005

今年の戦没将兵記念日(Memorial Day)は、かつて世界において自由と
正義の最も輝かしい希望の灯であったアメリカにとってふさわしいもの
ではない。

誰よりも国務省の職員は、米国のイメージが世界中でどれほど悪化して
いるか知っているはずである。今、米国は残忍で威圧的な国家として、
拷問を黙認し、キューバのグアンタナモベイや他の世界各地で恐ろしい
捕虜収容所を運営し、そこで囚人をひどく虐待し、陰惨に辱め、殺害し
ていると、広く認識されているのである。

米国に対する先週のイスラム教徒の大規模で辛辣な抗議行動は、グアン
タナモ収容所で尋問官がコーランを無礼に扱っているという報告に触発
されたものだった。だが、イスラム教徒や他の人々の怒りと憤りは長い
時間をかけて蓄積されたものであり、アメリカのいわゆるテロとの戦い
の名の下に、抑留者やテロ容疑者、負傷した囚人、全く無実の市民に対
する非人道的な対応を示す、疑問の余地のない証拠によって増幅されて
きたものだ。

先週、アムネスティ・インターナショナルは、世界の人権に関する年次
報告書の中で、500人以上の抑留者が容疑も裁判もないままグアンタ
ナモ収容所に拘束され続けていると指摘した。説明もせずに人々を閉じ
込めて無実を立証する機会も与えずにいるのは、世界の自由を推進する
にしては奇妙なやり方に見える。

今では、グアンタナモ収容所内や他のどこかに閉じ込められている人の
多くが無実であることはよく知られている。抑留者たちの有罪を立証で
きる証拠を保有しているとブッシュ政権は主張しているが、その証拠の
ほとんどは秘密事項であり、それ故に提示はされないのである。

テロとの戦いが、夢の世界を見つけてしまったというわけだ。

ブッシュ大統領の腹心であるカレン・ヒューズは、国務省による国家イ
メージ向上活動を先導する役割に抜擢された。ブッシュとその仲間は、
実質的な政策の変更なしには軽減できない破滅的な危険の可能性を否定
し、明らかにこの事態を人々の認識上の問題と考えている。

これはイメージ以前の問題である。アメリカ人に欠かせない資質である
べき理念が危機に瀕しているのだ。アメリカ合衆国は、政策方針として
(そして自由の名の下に)拷問技術の発達した国々に人々を送り届けて
いるのである。

バーモント州のパトリック・リーヒー上院議員は言う。「どうしてわが
国の国務省が虐待を容認する国家を非難できるというのか?CIAは、
拘束者を尋問目的で、まさしくそのような国家に秘密裏に送り込んでい
るというのに」

3月、ヒューズは、ブッシュ大統領が言われる、人間の尊厳という妥協
なき要求を支持するためにベストを尽くすと宣言した。拷問が課せられ
る場所においては、人間の尊厳はほとんどないということを、誰か彼女
に教えてやるべきである。

もし、テロとの戦いとイラク戦争における尋問と拘束活動の全貌を調査
するために、本当に独立した調査委員会が設置されるようなことがあれ
ば、アメリカはその失った尊厳をいくらか取り戻せるかもしれない。そ
の際行われる調査は、忘れられぬほど衝撃的なものになるはずだ。なに
しろ、大半のアメリカ人が自分の国が関わって欲しくないと思っている
類の所業が暴露されるのであるから。だが、長い目で見れば、その調査
は大変有意義なものとなる。

アムネスティ・インターナショナル合衆国事務局長のウィリアム・シュ
ワルツは、先週のインタビューで、政府上層部で練られた政策が囚人に
対する不当な扱いを導いたことを肝に銘じておくことが大切と語った。
「重要なのは、この政策が手の込んだものであるという点です」とシュ
ワルツは言う。「大統領はゴーサインを出した。国防長官は命令を下し
た。司法省は理論的根拠を与え、CIAは隠蔽を試みたのです」

911テロ攻撃直後、理に適ったテロとの戦いという点で、世界の大部
分の国は米国の味方をする準備ができていた。だが、ブッシュ政権は、
イラク戦争への強い熱情と手続きを無視したがる性向により、抑留者に
対する恥ずべき非人道的な行いを通して、その機会を台無しにしてしま
った。

世界の至るところで、ブッシュ政権下のアメリカのイメージは、理想的
な自由の勝者から、迷彩服を着た重装備で固めた悪党に歪められてしま
った。アメリカはますます危険で横暴な軍事大国と見なされており、天
罰が下される時期にきている。そうなれば、カレン・ヒューズに態度を
改めさせるよりも、はるかに面倒なことになるであろう。

▲ボブ・ハーバートはニューヨークタイムズ紙に連載する人気コラムニ
ストである。
Promises Betrayed: Waking Up from the American Dream は、
タイムズ 紙に掲載されたコラムを集めた新刊である。

http://hiddennews.cocolog-nifty.com/gloomynews/2005/06/by_f903.html