▼中国で初、肺炎の9歳少年から鳥インフルエンザ抗体▼
読売新聞 16 November 2005

中国衛生省の斉小秋・疾病対策センター長は15日、強毒性のH5N1
型鳥インフルエンザの家きん類への感染が確認された中国湖南省で「原
因不明の肺炎」を発症した少年から、鳥インフルエンザウイルスの抗体
検査で陽性反応が出たことを明らかにした。

16日付の香港の英字紙サウスチャイナ・モーニングポストが報じた。

中国本土での鳥インフルエンザの人への感染を当局が認めるは初めて。

9歳の少年と家族は10月中旬、死んだ鶏の肉を調理して食べ、少年と
12歳の姉に高熱などの症状が現れた。二人は隔離治療を受けたが、姉
は死亡。少年は快方に向かい、今月12日に退院した。

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▼インフルエンザ薬 タミフルで異常行動死▼ 毎日新聞
12 November 2005

インフルエンザ治療薬のリン酸オセルタミビル(商品名タミフル)を飲
んだ患者2人が、飲んで間もなく行動に異常をきたし、1人は車道に走
り出て大型トラックにはねられ死亡、もう1人はマンションの9階から
転落死していたことが11日、分かった。薬の添付文書には副作用とし
て「異常行動」(自分の意思とは思えない行動)や「幻覚」などが起き
る場合があると書かれているが、死亡につながったケースの判明は初め
て。厚生労働省安全対策課も死亡例の一つを副作用として把握しており
「異常行動の結果、事故死する可能性もある」としている。

NPO法人「医薬ビジランスセンター」(大阪市)理事長の浜六郎医師
が12日、津市で開催中の日本小児感染症学会で発表する。2人の遺族
が浜医師に相談した。

岐阜県の男子高校生(当時17歳)は昨年2月にインフルエンザと診断
され、正午過ぎにタミフルの通常量、1カプセルを自宅で飲んだ。その
後、家族が不在の間にパジャマ姿で素足のまま外出し、雪の中を自宅の
フェンスを乗り越えて走るなどした。午後3時45分ごろ自宅近くでガ
ードレールを乗り越え大型トラックに飛び込み死亡した。

タミフルの輸入販売元の中外製薬は同年7月、「薬との因果関係が否定
できない例」として厚生労働省に報告した。

愛知県の男子中学生(当時14歳)は今年2月5日にインフルエンザと
診断された。午後4時ごろに1カプセルを飲み、午後5時半ごろ自室に
戻った。午後6時ごろ、自宅マンションの前で全身を打って倒れている
のが見つかり、そのまま死亡した。警察によると9階の手すりに指紋が
残り、手すりにぶら下がった後に落ちたとみられる。

2人とも、薬を飲む前に精神的な異常は全くなかったという。

この他にも10代の女性が服用後2日目に窓から飛び降りようとして母
親に止められた例があり、厚労省は昨年6月に「医薬品・医療用具等安
全性情報」を出し注意を呼びかけた。添付文書に副作用として異常行動
を盛り込むことも指示した。

同省関連の独立行政法人「医薬品医療機器総合機構」には、2000 年〜
2004 年度に、服用後の幻覚や異常行動などが延べ64件報告されてい
る。

奥西秀樹・島根大医学部教授(薬理学)は「脳内には興奮を抑える仕組
みがあるが、タミフルはこの仕組みをさらに抑え異常な興奮などを起こ
すのではないか」と推定する。未成年者や乳幼児は化学物質から脳を守
る機構が弱く、特にこうした副作用を受けやすい。他に幼児6人が服用
後に突然死しており、同様の副作用と疑われるという。

タミフルはスイス・ロシュ社が開発した。ウイルスの増殖を妨げ、熱が
ある期間を1日程度縮める効果がある。国立感染症研究所の医師による
と日本での年間販売量は1500万人分で、世界の8割以上を占める。

欧米では、インフルエンザは自然に回復する病気とみられている。浜医
師は「飲んだ場合は副作用を頭に入れ、周囲の人が目を離さない方がよ
い」と話している。

▽母「息子 自殺じゃない」  

母親は警察や病院から何度も「何か悩んでいなかったか」と自殺を疑う
かのように尋ねられた。だが、心当たりはない。息子の友人も教師も、
「自殺するような子じゃない」と励ましてくれるが、なぜ死んだのか、
母親にも確証はなかった。

タミフルとの関連性を疑うようになったのは葬儀後のことだ。近所の女
性に「タミフルではないのか。自分も飲んだ時、すごく辛くて倒れた」
と言われたのがきっかけだった。

母親はインターネットでタミフルの副作用状況を調べた。掲示板に「息
子がタミフル服用後に突然、マンションから落ちて死んでしまった。何
で死んだのか分からない」と書き込んだ。反応はすぐ来た。「タミフル
を飲むと、いろんな症状が出るようですよ」

母親は情報を寄せてくれた一人の「医薬ビジランスセンター」の浜六郎
理事長に詳しく状況を知らせた。

母親は「病院はこういう副作用があることを一言も言わなかった。同じ
ような子が他にもいるのではないか。せめて、タミフルを飲ませた後は
子どもを監視するように伝えてほしい」と語った。

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▼タミフルが売れるとラムズフェルドが肥える▼ CNN 31 October 2005

鳥インフルエンザ大流行の予測は世界の人々をパニックに陥れているが
ギリアド・サイエンシズ社の株を所有するラムズフェルド国防長官やそ
の他米政界関係者にとっては朗報だ。カリフォルニア州に本拠を構える
バイオテック企業ギリアド社は、インフルエンザ治療薬として現在世界
中から注目されている「タミフル」の特許を所有している。

1997 年から2001 年に政界に入るまでラムズフェルド国防長官はギリ
アド社の会長を務めており、現在でも同社の株を保有しているが、その
評価額は500万ドルから2千500万ドルの間であることが本人によ
る連邦資産公開申告書で明らかになった。

申告書ではラムズフェルドが所有する株数の詳細は明らかになっていな
いが、過去6ヶ月間における鳥インフルエンザ大流行の懸念とタミフル
争奪戦の予測によりギリアド社の株価は35ドルから47ドルに急騰。
これによって、すでにブッシュ政権内で最高額の資産を持つ国防長官は
少なくとも100万ドル以上資産を増やしたことになる。

スイスの医薬品大手ロシェ社が製造販売しているタミフル(ギリアド社
は販売額の10%のロイヤリティーを受け取っている)で利益を得た政
界有力者はラムズフェルドだけではない。ジョージ・シュルツ元国務長
官はギリアド社役員として、2005 年度に入ってから同社の株700万
ドル分を売却している。

「政界とこれほど繋がりの深いバイオ企業は他に類を見ない」
サンフランシスコのシンク・イクイティ・パートナーズ社アナリストの
アンドリュー・マクドナルドはこう評している。

さらに重要なのは、合衆国政府が世界最大のタミフル購入者であるとい
う事実だ。今年7月には米国防総省は兵士への配給用に5千800万ド
ル分のタミフルを注文しており、議会も数10億ドル分の購入を検討中
である。2005 年度におけるロシェ社のタミフル売り上げ予測額はおよ
そ10億ドルで、前年度は2億5千800万ドルであった。