▼言論に忍び寄る検閲▼

今年のノーベル文学賞を誰よりも煙たく思っているのは英のブレア首相
だろう。

受賞した英の劇作家ハロルド・ピンターの作品はセリフに沈黙が多いこ
とで知られる。それと裏腹に、政治批判には多弁で、とりわけイラク戦
争での舌鋒は鋭かった。

反戦デモの先頭に立ってブレア首相を「戦争犯罪人」と糾弾し、ブッシ
ュ大統領を「国家テロリスト」とこき下ろした。

ハロルド・ピンターは長い間、人権や「表現の自由」を守る地道な運動
も続けてきた。
英国では1968年まで、上演される芝居すべての台本が事前検閲を受
けていたと聞く。検閲官の大部分を退役軍人が占め、神を冒涜したり、
同性愛に言及したりする箇所の書き直しを命じた。ピンターが書いた初
期の名作も、例外ではなかった。

英国の季刊誌「検閲時評」の編集長バイダル・ホールは言う。
「検閲は決してなくならない。日本の能面のように、権力はいつも違う
面をかぶり、新たな顔を装って検閲する」
(朝日新聞 20 October 2005)

▼イラク戦争で米英首脳の裁判を主張、ノーベル賞劇作家▼
CNN/AP 08 December 2005

ストックホルム発:今年のノーベル文学賞を受賞する英国の劇作家ハロ
ルド・ピンター(75)は7日、今月10日の授賞式で読む演説の録画
を行い、この中でイラク戦争を非難、主導的役割を果たしたブッシュ米
大統領とブレア英首相を国際刑事裁判所で裁くべきだとの見解を示した。

ピンターはこの中で、「イラク侵攻は、無謀な国家テロの行為」、「国
際法の概念を全面的に無視している」などと糾弾。ブッシュ、ブレア両
氏はイラク戦争で死亡した数万人の責任を負うべきだとも批判した。

ピンターは、米外交の批判者で知られる。「米国は第二次大戦後、チリ
からフィリピンまでの、軍の力に頼った右派の独裁政権を支援した。米
国は、後悔もなく、絶えず、組織的な犯罪を犯してきた」とも切り捨て
ている。

▼ブッシュ支持派で固める▼Knight Ridder Newspapers
02 Dec.2005

ナイトリッダー紙の最新報道によれば、ブッシュ政権下の米国務省は、
世界各地の米大使館が主催するイベント・講演に出席するアメリカ人を
公務員はおろか大学教授等の専門家、その他知識人に至るまで、ブッシ
ュ支持派に限定しているという。

▼ラムズフェルドの後任はリーバマン?▼NY デイリーニュース
08 December 2005

イラク戦争の泥沼化で批判が集中するホワイトハウス周辺では、ブッシ
ュ大統領がラムズフェルド国防長官の退任を画策しているという噂が広
がっている。ニューヨークデイリーニュース紙の12月8日付記事によれ
ば、ラムズフェルドは来年早々辞任し、後任には民主党の極右派として
有名なジョセフ・リーバマン上院議員の名前が挙がっているという。同
紙はまた、昨年度にホワイトハウスが、国連大使としてジョン・ボルト
ンを指名する以前に、リーバマン議員を推薦する計画があったことを伝
えている。

リーバマン議員がブッシュ政権メンバーやいわゆるネオコン派と極めて
親しいことは以前からよく知られている。例えば、リーバマンがチェイ
ニー副大統領の妻であるリン・チェイニー(夫以上のウルトラ右翼)と
共同設立した教育団体『アメリカ信託校友協議会(American Council of
Trustees and Alumni :ACTA )』は、ブッシュ政権の政策に批判的な
教授、学生の所属する合衆国内の大学をブラックリスト化、「反米教育
をしている」と批判するレポートを出版、大学関係者から「マッカーシ
ズムの再来」と恐れられている。