ハロージャパニーズ from Sweden
MISUZU TAMAI

ここスウェーデンはとーても変な国です。 みんなでNHK テレビをやってるみたいな感じ。すごくコントロールされていて、そのされ方が日本と似ている。
人々はとっても「自分の気持ちを隠すのが上手」らしい、または気付いていないのかも?
この国ではお酒は特定の店でしか買えない。おまけにとーても高い。だからだと思うけどお酒の飲み方とか知らないんだろうなと思える人が多く、キケンな飲み方っていうか楽しむ前につぎ込んじゃってる感じ。政府にとてもストロングな「アルコール反対」の人々がいてこれをよしとしているらしいがアル中は増えていくし何を見ているのだろう彼らは。
ここでは部屋の中でガスは使えない。すべて電気。コストも電気のほうが高い。安全のためらしいが法律で決められていて、あなたに選択の余地はない。
とても自然にネガティヴになってしまうようなことに出会うのが簡単です。でも私はもっとポジティヴに見ることにしようと思っているのです。 たとえばここでしか見れない美しい自然とか野生の動物とか、今は緑がとってもきれいで散歩してても楽しい。
図書館へ行ってびっくりしたのは世界各国の本が原文で読める!私は日本の本を一冊借りました。そんなにたくさんはないけどすごいなと思った。
そうそう1992年以降ヨーロッパは変わる。
今もうすでにそういうのが感じられる。 スウェーデンは参加しないらしいけどいつまでもそうはいかないよね。そしたら何か変わるしかない。いい方向にね。
消費文化にはリミットがあってこのまま続けることなんかできっこない。それはもう自殺行為のようなもの。何か大きな波がくるような気がする。それが地球と人間にとっての成長のような、その最初の一歩をヨーロッパがやるのかもしれない。
そういう意味でヨーロッパはエキサイティングです。
日本もこういうのちゃんと見て考えたり感じたりしないととーても困る立場になると思う世界の中で。
お母さんのお腹の中はヌクヌクしてとーても安心だと思うけど、外に出たらそれまで知らなかったステキなことがいっぱいあるんだよ。そして自分で自分をキープする方がもっと安心だと思います。
スウェーデンでも人々は日本人よりまだリベラルなところあると感じる。オランダ人はとってもリベラルだと思う。オランダはとっても小さな国だし、まわりの大国からの影響もあると思う。他の国々と仲良くしていかなければ自分が危ないみたいな背景にあったんだと思うけどそういうのが人間をオープンに、そしてポジティヴに他の国の人を見る姿勢にしている。
そんなんで日本を見ると島国だし、遅れをとるに十分な位置にあるよね。
アムステルダムのレストランにいるときパキスタンから来た人がいた。彼は日本でエンジニアの仕事をしていたけどビザが取れずアムスで働きながら会社のボスが奮闘してビザが下りるのを待っている。ボスはずっと日本から彼に仕送りをしていたんです。そのくらい彼に働いて欲しいわけなんだよね。でも彼の国籍がとっても難しい理由のひとつ。
日本のパスポート、けっこうすいすい通れますいろんな国で。だからそういうこと考えもしなかったんだよね。彼はビジネス結婚を考えている。彼らは真剣です。そういうこと考えるようになってしまう国籍とか国の状態、悲しいと思った。
いったい私に何ができる?
今インドでカシミールが独立を求めている。ヒンズーとイスラムは仲良しなの?それともセパレート?
パキスタン人の彼はイスラムで二人のインド人と一緒に住んでいる。インド人はヒンズーです。でも彼らはオランダでお互い助け合って生きている。ラマダンのあいだもヘルプしている。こういうのってインドの中じゃ起きないことかもしれない。外じゃできて中じゃしない。こういうの見ると不思議。 だって絶対できないわけじゃないんだもの。どっちが本当の自分?

▲古いアパートではまだガスが使えるということがわかりました。
●MISUZU TAMAI の旅は1988年アメリカのロスから始まった。ブラジル、チリ、ボリヴィア、エクアドル、コロンビア、グアテマラ、メキシコ、アムステルダムそしてスウェーデンとオン・ザ・ロードにある彼女はブラジル音楽が大好き、五感が導くままに駆けめぐるほどソウルは自由気まま。
●TAMA- 2 掲載、1990年