Osama's New Recruits
内なるオサマ


9.11の成功に歯ぎしりする者がいた。アメリカ国内の人種差別主義者の地下組織の兵士らだ。
「同じこと(Jew York への攻撃)をしようと思って準備しても人口1億5千万の白人アーリア系アメリカ人のほんの少数しか集まらないのは不名誉なこと」とミシガン州出身ナチ党議長ロッキー・スハイダは嘆いた。
オンラインのスハイダのぞっとするコメントは国内の多数の過激派に共通の悪意に満ちた憎悪のヒントに過ぎない。それでもFBI 捜査官らは白人パワーの連中が重大な襲撃を起こすにはたるんでいるのはもちろん、バカすぎると踏んでいるようだ。例の炭疽菌事件はますますもって彼らの仕業のように思える。この手の連中には生物化学兵器にあこがれるのがいた。そして今彼らは公然と襲撃を要求している。「今こそアーリア人が攻撃するときだと知らせてくれ」とミネソタのアーリア人ネーションの班長ポール R. シュミットは書く。
アメリカ国内の白人パワーがこれを全部自分たちの手でやる必要がなくなる機会が常にあるというのはなおさら怖ろしい。共通の反ユダヤ気質によって煽られるアメリカの田舎の白人至上主義者はヨーロッパの(ことによると中東の)過激派とのリンクをでっち上げていた。
95年オクラホマシティの連邦政府ビル爆破で(死者168人、負傷者500人)国防総省の役人たちは湾岸戦争の退役軍人、故ティモシー・マクヴェイがイラクの諜報員として行ったと推測してたのを昨年10月U.S.News & World Report 誌が暴露した。こじつけと思えるかもしれないがFBI は最初テロリストは中東にいるものと考え捜査の網を世界規模に広げる。被告側弁護人ステファン・ジョーンズは世界中を旅してロンドン、テルアビブ、ベルハースト、マニラで穴を埋めた。フィリピンでジョーンズは共犯者と疑われたテリー・ニコルズが93年WTC 爆破の中心人物ラムジー・ユセフや、ひょっとしてオサマ本人を含む中東のテロリストに会っていたとの情報を得る。アルカイダは新兵補充と予備の基地としてフィリピンを利用した。リーダーたちの足取りが時にすれ違いまるで情報交換してたかに思えるのがこの憶測をもっと突飛にさせる。少しの間、彼らはコロラドの連邦刑務所で一堂に会した。マクヴェイ、ユセフ、ユナボマーが出会い、親交を深めた。
幾つかの極右グループはユダヤ人攻撃の手段としてアラブ人に喜んで応えようとした。湾岸戦争最中、タルサ・クラン(KKK の支部)のリーダー、デニス・マホンはサダム・フセインを支持する小規模のデモを町で計画している。
白人パワーのバイオテロリズムへの関心は運動のリーダー、ボブ・マイルズがシアン化物を使い主要都市の給水に毒を入れようとした80年代初期までさかのぼる。95年猛毒のタンパク質リシンを作ったアーリア人ネーションのメンバーが逮捕され刑務所で首をつった。95年同じくアーリア人ネーションのメンバーがメリーランド研究所から不活性腺バクテリアを買った後、詐欺罪で有罪になる。ラリー・ウエイン・ハリスは車のグローブボックスにその伝染病をしまい込んだ。炭疽菌所持容疑で逮捕されるがワクチンと判明して告発は免れる。
今回の炭疽菌攻撃の陰にいるのが誰であれ二つの模範のどちらかにはまると法執行の内部筋は言う。一つはユナボマー、孤立したアナーキスト信奉者。もう一つは人種差別主義の右翼グループ追随者で中絶クリニックの爆弾魔を疑われるエリック・ルドルフだ。
ユナボマーことセオドア・ジョン・カジンスキーは78年に始まりサクラメントで男性を死亡させる85年まで次から次へ爆弾を試し兵器製造を完成させる。ルドルフもアトランタ・オリンピック開催中にセンテニアルパークでぎこちなく爆発するバックパック爆弾を発端に地元のゲイ・バー、バーミンガム、アラバマ、中絶クリニックにてタイマーを使ったクルマから無線で爆発させる自前の兵器を完成させる。
その中絶クリニックは今回の炭疽菌で何度も脅迫を受けた。それはどんどん手に負えなくなっている。憎悪さえあれば炭疽菌入手も特に難しくはない。バイオ攻撃を打ち明けたとき、元物理学教授で全米ネオナチ同盟のリーダー、ウイリアム・ピアースはアメリカ人は別に驚かないと説明した。「炭疽菌に汚染された手紙を受け取るのは本物の防衛手段を持ち得ないことを思い出させる信号、政府の支配を奪還するまで子供や孫に真の未来はない」彼はオンラインで書く。「十分な量の巡航ミサイルとスマート爆弾を使って中東のユダヤ人の敵を大量に殺せばアメリカ人は再び安全になるとTV の画面から独断的に語りかける軍司令官や政治家を信じてはいけない。政府とメディアの支配を奪還するまでアメリカ人には二度と再び真の安全確保もなければ心の安らぎもないだろう」
あの日ペンタゴンに旅客機が突っ込んだときWeb 上を極右グループ陰謀説が飛び交った。ピアースの小説<ターナー・ダイアリー>の最終段階に爆発物を搭載した飛行機でペンタゴンに突っ込むヒーローが登場した。彼の本は極右のバイブル。マクヴェイの車の後部座席にあったのがこの本で銃の展示会で本を売っていたのを彼は認めている。陰謀論者らが活気づいたのには理由がある。最初の旅客機がWTC に突っ込んだ時刻が連邦政府ビルの駐車エリアで爆弾を積んだマクヴェイのトラックが爆発したのと同じ時刻だったからだ。
しかし、彼らにそんな複雑な陰謀を遂行する能力はないということでこの説は立ち消えになる。

▲参考資料:VILLAGE VOICE Oct.31, 2001
villagevoice.com exclusive Sep.11, 2001